歯周病



アメリカでの研究報告によると、歯周病の人は健康人に比べて致命的な心臓発作を起こす確率が2.8倍、脳卒中の確率は3倍、早産の確率は7.5倍 にものぼるそうです。

口の中が乾燥したり、歯の数が少なくなると口の中では普段繁殖しにくい肺炎菌などの酸素を好む細菌が繁殖して、呼吸器疾患を引き起こす確率も高くなります。

以前は糖尿病から歯周病が引き起こされると言われていましたが、最近では歯周病から糖尿病を引き起こすケースも報告されています。

歯周病は歯と歯肉の間のミゾに住み着いた細菌が繁殖して、毒素をまきちらかし、歯肉に炎症が起こることから始まります。
歯肉の腫れが起こると、ミゾが深くなりより多くの細菌が住めるようになります。

次にこれらの原因菌が「バイオフィルム」と呼ばれる、自分たちが都合のいい環境をつくり出すのです。

バイオフィルムとは、複数の細菌が組み合わさって粘性のある集合体となり、固体の表面に付着した状態をいいます。

細菌がバイオフィルムの中で守られているため抗生物質などの薬剤に対しても強い抵抗性を発現するため、薬を飲む、うがいするだけでは除去できません。

口の中にできるバイオフィルムは、約400種類の細菌で作られている、と言われており、早期の柔らかいうちでないと、歯磨きでは取れません。



この悪循環に対して人間は白血球やリンパ球といった血液の兵隊を集めて抵抗するのですが、その血液の集結が炎症であり、歯肉の腫れ、出血という現象なのです。

いよいよ兵隊で戦い切れなくなると、歯を支えている骨の城は落城ということになります。
つまり、自ら城に火を放つのです。

実際には破骨細胞というものが炎症のある部分の骨を自分で溶かしてしまうという行為に及ぶのです。
歯を支えている骨が一定以上溶けてしまうと、歯は動揺してやがて抜けてしまうのです。

できるだけ早期に歯科医師に相談して対策を立てないと、手遅れになりがちです。
静かに進行する病気なので文字通りサイレントディジーズと呼ばれるほどです。
油断大敵なのです.

よく歯肉から血が出るのが歯周病であると言われますが、貧血の方では出血はないままに病気が進行することがあるので、血が出ないからといって安心しないことです。

このように噛み合せが充分にできなくなるばかりでなく、全身の病気にまで悪影響を及ぼす歯周病を放置しておいては一大事です。
至急信頼できる歯科医院に検診に行かれることをお勧めします。

関連した話は当ホームページTOPにある歯の話Tの「歯と全身の病気」をご覧下さい。

 


TOP
歯と全身の病気