外力により歯が骨から離れるような状態を生じることがあります。これを歯牙脱臼といいます。
この脱臼には、完全に抜け落ちてしまう、完全脱臼と、半分しか抜けていない不完全脱臼があります。
a.完全脱臼(脱落歯)
脱落はすぐに手当をすると歯を助けることができます。
しかしここで大事なのは、抜け落ちた歯の歯根膜が生きているかということです。
歯根膜が生きている場合は、 抜け落ちた穴(抜歯窩)に歯を戻す(再植)ことにより、歯は再び機能を回復します。
また、歯の根の先が完全にできあがっていない場合には、神経も生き返ることがあります。
しかし、歯根膜は乾燥に弱く、口の外で乾燥させると、およそ30分ぐらいしか生きていません。
したがって歯が抜けたら30分以内に歯医者さんに戻してもらうか、自分で戻すことが大事です。
抜けた歯を助ける最も良い方法は歯を自分でまず元の位置に戻してみることです。
もちろん地面に落ちた歯は水道水で洗って汚れを取ってから戻します。
しかし、水道水で洗うのは30秒以内にして、ごしごし洗わないことです。
根の部分は極力触れないようにしてください。 30秒以上水道水につけてしまうと水と、組織液の浸透圧の差で、歯根膜が死んでしまうし、組織を損傷させます。
もし抜けた歯を戻せない場合には、抜けた歯を口の中に入れて保存することです。
ただし飲み込んでしまわないように注意が必要です。
歯を唇と歯ぐきとの間に入れておくと飲み込んでしまう心配がありません。
歯牙保存液(ネオ製薬)
もし未開封の新鮮な牛乳がある場合には牛乳の中に入れて保存するのも良い方法です。
もちろん滅菌済の生理的食塩水があればその中に入れます。
そしてすぐに歯医者さんに行きましょう。
「歯牙保存液」が発売されていますので、歯科医院を通じて学校などの施設の保健室に備えておけば理想的でしょう。
保存状態が良く、歯根の表面の歯根膜細胞がより多く生きていれば、再植(抜けた歯を元に戻す)が可能になる確率が上がります。
b.不完全脱臼
この場合には、元の位置に押し込むか、できなければそのまますぐに歯医者さんに行ってください。
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