御家族が大きないびきをかいていると思ったら突然静かになっている、よく見れば一時的に呼吸が止まっているということはありませんか。
いびきをかいていると一見熟睡しているようにも見えますね。
しかし実際には空気の通る道がふさがっていて、無理やり空気を通そうとするときに発する音なのです。
人間が呼吸をする時、空気の通り道である上気道(鼻、のど)の背中側には硬い頚椎があります。背中側以外の3方向は軟らかい組織によって囲まれています。肥満になると脂肪はこれらの軟かい組織に沈着して 上気道を狭くします。そのため空気が通りにくくなって、周囲の軟組織が空気の流れで振動する時に発生する音がいびきなのです。
健康な人でも 酒を飲んだ時に「いびき」をかきやすいのですが、これは酒を飲む事で上気道を開く筋肉の活動が低下するからです
いびきをかくのは、呼吸が抑制されている分、眠りの質が浅いのです。
起きているときも眠かったり、集中力や、記憶力の低下、イライラが生じてきます。
さて10秒以上呼吸が止まることを無呼吸と定義されています。
この無呼吸が1時間に5回以上または7時間の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されます。
この無呼吸状態が慢性的に繰り返されると、体内が酸素不足になり循環器系や呼吸器系に影響を与えて高血圧や、不整脈、心不全、極端な場合には突然死にもつながります。
車を運転する方や、機械を操縦される方は昼間に眠気が突然襲って一時的に意識を失うと、居眠り運転など大きな事故につながることもあります。
この病気は人口の4%にあると見られています。
厚生労働省では睡眠1時間あたりの低呼吸数が20回以上おこる場合では、5年後の生存は84%(5年後の死亡率は16%)と報告しています。意外と怖いでしょう?
重症のSASではもっと怖いですよ。
治療法としてはレーザーでの手術があります。
その他頭部固定のゴムマスクを鼻に装着し、ポータブルのコンプレッサーを使用して加圧した空気を人工呼吸器のように鼻から気道に送り込むのも効果があります。
CPAPと呼ばれる経鼻式持続陽圧呼吸装置によって気道を確保する方法で耳鼻科で取り扱っています。
でもそんなマスクをして眠れる人がどれだけいるのでしょうか。
歯科では仰向けになり下顎を前に出すと顎が持ち上がり気道が開く原理を応用して、寝る時に口の中に入れてもらうマウスピースがあります。
しかし、鼻の通りが悪い、咽頭肥大が著しい
、寝付きが悪かったり、意外と神経質であったり
、18歳未満または歯が20本以下
、歯がくらついたり、顎の関節に痛みや障害がある 人には使えないことがあります。
いきなり大きな異物を口の中に入れられるのは誰しもいやでしょうね。
しかし年を取ると入れ歯を入れる人も多いのですから、慣れないことはないはずです。
事態の深刻さをよく理解して受け入れるのが賢明です。
ある報告によるとSASは脳卒中の発症のリスクを高めると言われておりSASにかかっている人は脳卒中になる危険率が健常人の10.8倍であると言われています。
つまり、SASを治療せずに放置しておくと取り返しのつかないことになるかもしれないのです。
家庭でできる工夫にはアルコール、タバコ、肥満、精神安定剤の服用といった生活習慣を改善することがまず大切です。
つぎに仰向きに寝ると気道が狭くなるので横向きに寝ることです。横向きになった背中のところに物を置いたり、布団をめくって背中に当てて寝返りを防ぐ工夫をします。抱き枕をしてもいいでしょう。
枕が高すぎると首が曲がってしまう形になり、これが原因で気道が狭くなることがあります。枕はなるべく低めにして(5〜7cmくらい)気道がまっすぐな状態に維持できるようにしましょう。
市販のノーズグリップは鼻以外の気道の閉塞によるいびきにはまったく効果がありません。 マウステープも寝ているうちにすぐにはがれますので効果は限定的でしょう。
なお、子どもが習慣的にいびきをかいているとしたら異常です。 健康な子どもはいびきをかかないからです。 子供にとって睡眠は成長するための大切な時間。
その睡眠中に体が酸素不足に陥っていたら、体や知能の成長や発育に悪影響が出ることは明らかでしょう。 子供のいびきは大人以上に危険であるともいえます。
ところで、有効な医薬品はないとされる睡眠時無呼吸症候群やいびき抑制に、老化防止や健康維持として注目を集めている抗酸化物質「コエンザイムQ10」が効果のある可能性が高いことが、郡山市の太田綜合病院睡眠センターの高崎雄司センター長らの研究グループの臨床実験で分かりました。
実験などの結果によると、いびきで悩んでいる人に、活性化コエンザイムQ10「イビキノン」を投与したところ、多くの人でいびきの音が小さくなったり、睡眠感や起床時のそう快感、のどの詰まり感などの改善も認められたそうです。
その他詳しいことは
医師とよく御相談ください。
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