よく噛むことは大事ですよ



年を取ると記憶力の減退はどうしても避けがたいですね。
この記憶力が歯で噛むことと関係しているとしたら驚きでしょうか?

ラットを使った実験では、歯を抜くと記憶力が衰えることが確認されており、さらに顎を動かす神経を切ってしまうと、それ以上に記憶力が減退することが分かりました。

食べ物を噛む際、口腔の片方だけを使うようにしたネズミは左右の神経細胞の密度に差があることも分かっています。

またチュウインガムを噛むと 側頭部の血液の流れる量が増えたという報告もあります。

脳内血流が増えれば、脳の働きを改善できる可能性があります。

老化に伴う口腔機能の低下には大きく分けて3つあります。

一つ目は噛む力が弱くなること、二つ目は嚥下力つまり呑み込む力が弱くなること、三つ目は味覚が衰えることです。

どれも密接に関係しあっていてどれが大事とはいえないのですが、まず口の中に入ってきたものをよく噛むことが重要です。

よく噛めば、唾液もよく出て呑み込みやすい状態になりますし、食べ物も小さくなります。

また、噛めば噛むほどいろんな味は出てくるものです。

唾液と混じりあうことによって、発がん性も押さえられます。

体中の細胞を作るためには栄養は不可欠です。

老年になりますと他の臓器の働きも弱くなってきていることも多いですから、入り口のところでできるだけ消化しやすい状態にするためにも噛むことは重要なのです。

咀嚼力を5段階に分類し、体重、握力、平衡機能及び骨密度を測定したデータ(東京都老人総合研究所「中年からの老化予防」)でも、「かめる人」と「かめない人」では大きな差が出ています。

よく噛むことによって良好な成人でも脳内血液量が20%増大し、総義歯の方では使用の有無にかかわらず、50%以上の脳血流量の増加があるといわれます。

しかし、必ずしも固いものを噛む必要はなく、サキイカで20.7%、プリンで16.5%というデータを見ますとただよく噛んで刺激を与えるだけで脳内血液量は上がるようです。

よく噛んで唾液をよく出すことも大事ですよ。

消化酵素ばかりでなく、発がん性を阻止するラクトペリオキシダーゼ、歯の資質を丈夫にするアパタイト化酵素であるスタテリンや上皮形成因子、神経生成因子といったものが含有されておりますので、重要性は日に日に認識されつつあります。

 

 


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